設備設計の転職ガイド|仕事内容・資格・年収まで徹底解説
建築設備設計は、建物の快適性と機能性を支える専門職です。年収やキャリアアップを狙う中途採用や、未経験からの挑戦も増えています。
本記事では、設備設計の仕事内容から必要資格・スキル、求人の探し方、キャリアパスまで、転職を成功させるための情報をわかりやすく解説します。
1. 建築設備設計とは?転職市場で注目される理由
建築設備設計とは、建物に必要な「電気」「機械」「空調」などのインフラを設計・計画する専門職です。建築設備が快適かつ安全に機能することで、人々の健康や生活、ビジネスが支えられています。
現在、設備設計のニーズは右肩上がりです。都市開発の進行や老朽化した建物の更新に伴い、設備のリニューアルや高性能化が求められています。特に省エネ設計や ZEB 化、スマートビルの需要拡大により、設備設計のプロフェッショナルが重宝されています。
一方で、設備設計者の高齢化や引退により、人材不足が業界内で大きな課題となっています。設備設計者のニーズはこれからも増え続け、転職市場では売り手市場の状況が続くでしょう。
2. 設備設計の仕事内容とは?
設備設計は大きく以下の3分野に分かれます。
2-1. 電気設備設計
照明、スイッチ、コンセント、電気配線、火災報知器、避雷針、セキュリティシステムなどを設計します。電気の容量計算から供給計画、制御システムまで幅広く理解する必要があり、IT技術との連携も求められる分野です。
2-2. 機械設備設計
給排水、ガス、衛生設備、消火設備など、建物内の機械的な設備全般を扱います。配管の取り回しや省スペース化の工夫が必要で、建築や構造と密接に連携します。
2-3. 空調・換気設備設計
快適な室内環境を保つための冷暖房・換気システムを設計します。熱負荷計算や省エネ設計など、専門的な知識が求められます。機械設備設計の一部として含まれることもあります。
上記いずれも、意匠設計や構造設計と連携しながら、チームでプロジェクトを進めることが一般的です。クライアントとの打ち合わせ、施工会社との調整や現場監理も業務に含まれます。
またひとくちに設備設計と言っても、会社の属性や規模によって業務内容は異なります。よくある就職先としては、組織設計事務所やゼネコンの設備設計部門、設備専門のサブコン、設備設計事務所などが挙げられます。
3. 設備設計に必要な資格とスキル
設備設計の業務を行うにあたって特定の資格が必須というわけではありませんが、業務に必要な知識を習得したり、転職活動を有利に進めたりするためには、資格取得も視野に入れると良いでしょう。ここでは、設備設計者にとって代表的な資格とスキルをいくつかご紹介します。
3-1. 建築士(一級建築士・二級建築士)
設備設計者に限らず、建築設計に携わる人にとって役立つのが建築士資格です。資格の有無により、設計できる建物の用途や規模が変動します。
3-2. 設備設計一級建築士
さらに専門性の高い建築士の上位資格と位置付けられているのが、設備設計一級建築士です。平成 18 年以降、3 階以上かつ延床面積が 5,000㎡ を超える建築物の設備設計については、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか、設備設計一級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられました。一級建築士として 5 年以上の実務経験を経た後に講習を修了する必要があるため、希少性が高く重宝される資格と言われています。
3-3. 建築設備士
建築設備士は、建築士に対して設備設計・工事監理に関する適切なアドバイスを行える資格者です。延床面積が 2,000㎡ を超える中〜大規模の建築物の設備設計を行う場合は、建築設備士または設備設計一級建築士の関与が必要になってきます。
3-4. 電気工事士・管工事施工管理技士
電気設備・機械設備の施工管理を行うにあたって必要不可欠な資格です。さまざまな種別があり、中には実務未経験者でも受験可能なものもあります。
3-5. 技術士
設計や施工計画のコンサルティング業務を行える資格です。電気エネルギーや情報工学など、21種類の分野に分かれていますが、中でも建設部門の技術士はゼネコン・サブコンなどの建設業界や建設コンサルタント、官公庁からの需要が高いです。
3-6. その他のスキル
設備設計においては、設備専門の CAD ソフトのスキルが求められるケースも多くあります。
また近年、設備設計においても BIM 化が進んでおり、BIM を使用できる設備設計者のニーズは今後も増えていくと予想されます。Revit や Rebro などの BIM スキルを身につけておくと、転職活動で有利になりその後の実務でも大いに役立つことでしょう。
4. 設備設計の年収事情
設備設計職の年収は、企業規模、地域、保有資格、経験年数、担当プロジェクトの規模などによって大きく異なります。以下は一般的な相場や業界の傾向を踏まえた推定値です。
- 未経験~3年:約350~450万円
- 中堅(30~40代):約500~700万円
- ベテラン(50代以降):約700~900万円以上
大手ゼネコンや設計事務所では給与水準が高く、福利厚生も充実している傾向があります。一方で中小企業では、裁量が大きく、スピード感ある成長ができる点がメリットです。実力次第で昇給しやすい環境もあります。
また設備設計職は現在売り手市場のため、年収交渉の余地も多いにあるでしょう。
給与交渉の際には、前職の年収や自身の経験・スキルを根拠に希望額を伝えることが重要です。設備設計業界に特化した転職エージェント に相談すれば、希望額をいくらで設定すべきかのアドバイスを受けることもできます。
5. 設備設計の転職・キャリアパス
ここでは、経験やスキル、志向に応じた代表的な 5 つのキャリアパスをご紹介します。
5-1. 大手にキャリアアップ、年収アップ
設備設計で年収アップや安定性を目指す場合、大手企業への転職が一つの選択肢です。大手ゼネコンや組織設計事務所では、大規模なプロジェクトに携われるチャンスが数多くあります。福利厚生や教育制度も整っているため、長期的なキャリア形成にも適しています。
また、設備一級建築士や建築設備士などの資格保持者は優遇されやすく、経験やポジションによっては年収700〜900万円、それ以上を目指すことも可能でしょう。
5-2. ホワイトな企業に転職
働きやすさを重視する場合は、ホワイト企業への転職を目指すのも良いでしょう。設備設計の業界は長時間労働のイメージがありますが、最近ではワークライフバランスを重視した企業も増えています。
労働時間の管理が徹底され、在宅勤務やフレックスタイムを導入している企業もあります。
一方で、働きやすさについては求人情報のみでは分かりにくい部分もあるため、設備設計業界に特化した転職エージェントを活用し、職場環境に関する情報を事前に確認することが重要です。
5-3. 施工から設備設計
現場での経験を活かして施工管理から設備設計に転向するケースも多く見られます。
現場出身者は施工性を考慮した設計ができると評価されることも多いですし、現場でのトラブル対応や調整力が活かされるため、クライアントとの折衝や調整業務にも強みを発揮できます。
このキャリアチェンジを成功させるには、まずは CAD・BIM ソフトを使いこなせるよう習得し、余力があれば資格取得も目指すのがおすすめです。
5-4. 独立に向けて修行を積む
「将来的に独立したい」という人にとって、独立を見据えながら設備設計事務所で経験を積むのも選択肢の一つです。
特にフリーランスや個人設計事務所の立ち上げを目指す場合は、自分一人で実務をこなせる経験値と人脈の構築が欠かせません。小〜中規模の設備設計事務所でプロジェクトを回しつつ経営のノウハウを学ぶのも、独立に向けた良いステップになることでしょう。
5-5. 未経験から挑戦する方法
「これまで意匠設計をやっていたが、設備設計の経験も積みたい」「建築の営業から設備設計にチャレンジしたい」という人もいるのではないでしょうか。設備設計の分野は、未経験からの挑戦も可能です。特に 20 代後半の理系出身者や、建築・施工・設備業界の周辺職種からの転職者が多く見られます。
未経験者歓迎の求人は、教育体制が整った企業に多く、実務を通じてスキルを磨ける環境が魅力です。
まずは CAD ソフトの習得や基礎知識の勉強から始め、資格取得を目指しながら実務経験を積むと良いでしょう。
6. 設備設計の求人を探すには?|転職活動の進め方
設備設計の転職活動は、非常に専門性が高いため転職エージェントの利用が効果的です。転職エージェントを活用すると、非公開求人の紹介や転職活動のアドバイスなど様々なサポートを受けられるため、効率的に転職活動を進められます。
よくある方法としては、以下が挙げられます。
- 設備設計専門の転職エージェント
- 建築設計業界専門の転職エージェント
- 企業HPの求人情報を見る
- 人脈を活用する(知人や同僚の紹介)
7. まとめ|設備設計転職を成功させるために
建築設備設計は、専門性が高く将来性もあり、年齢問わずキャリアを築ける職種です。転職の目的を明確にした上で、資格やスキル取得の計画を立てながら転職活動を進めていきましょう。
情報収集については、まずはインターネットの公開情報や転職サイトなどを自分で調べつつ、専門家や転職エージェントからも一度は話を聞いてみると良いかもしれません。たくさんの企業情報を把握している専門家に話を聞いてみると、自分がこれまで知らなかった新しい企業を紹介してもらえたり、さまざまな視点からキャリアアップの相談をすることができるでしょう。
「設計転職」は、設備設計をはじめ建築設計業界に特化した転職エージェントです。社内には一級建築士や建築設計の経験者が在籍し、転職活動の進め方だけでなく、企業文化との相性やキャリアパスを考慮した相談も可能です。さらに、同社が運営する「アーキタッグ」を活用すれば、本格的な転職の前に業務委託で仕事を受け、企業との相性を確かめることもできます。転職を考えている皆さん、こちらの「無料登録 / 転職相談」からお気軽にお問い合わせください。
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