タッグ完了後インタビュー|アーキタッグ
アーキタッグを通じてタッグを組んだ、arbol とアシタカ建築設計室による共同設計の住宅「夙川の家」が昨年完成しました。
このプロジェクトのタッグがどのように進んでいったのか、実際に依頼者の arbol・堤さん、パートナーのアシタカ建築設計室・加藤さんのお二人にお話を伺いました。
ーーまずはじめに、arbol・堤さんとアシタカ建築設計室・加藤さんがタッグを組まれた経緯を教えてください。
堤氏 「加藤さんとの出会いは、アーキタッグさんから紹介を受けたことがきっかけでした。
元々、arbol では外部のパートナーと協業してプロジェクトを進めることが多く、今回もプロジェクト全体を通して一緒に伴走いただけるパートナーを探していました。
加藤さんの過去の作品のポートフォリオを見せていただいたり、オンライン面談で直接お話しする中で、お互いの設計理念やスタイルに共感することが多く、タッグを組むことに決めました。」
加藤氏「arbol さんの物件はメディアで何度かお見かけしたことがあり、元々興味を持っていました。実際に面談でお話ししてみて、共通するものだけでなくこれまでの自分の仕事のスタイルとは異なる部分もあり、刺激になりそうだと感じたのでお引き受けすることにしました。」
左:arbol 堤氏 / 右:アシタカ建築設計室 加藤氏
ーー今回のプロジェクトの始まりについて教えてください。
堤氏「お客様からお問い合わせをいただいた時点では、まだ土地の購入はされていなかった案件なんですよね。お客様の要望を詳細にヒアリングした後、土地の選定と建築のコンセプト策定を並行して進め、具体的な設計に着手しました。土地購入のプロセスを一緒に進めながらコミュニケーションを重ねる中で、我々の過去の作品やフィーリングを気に入っていただけたようです。
arbol では、自然と調和するシンプルで温かみのあるデザインを心掛けています。今回のプロジェクトでもその理念を基に、お客様の希望を取り入れながら設計を進めました。
今回のお客様の印象としては、非常に感性が豊かでデザインセンスのある方だなと感じていました。実際に提案したデザインの方向性についても意見が一致することが多く、スムーズにプロジェクトが進行しましたね。
土地購入の前段階からパートナーを探し始め、加藤さんをご紹介いただいたので、加藤さんとは1年半近くプロジェクトをご一緒させていただきました」
ーープロジェクトの進め方や役割分担についてはどうでしたか?
加藤氏「基本設計段階では、堤さんの初期アイデアをもとにプランニングを進めていました。外に開くことが難しい敷地環境もあり、堤さんから『ドーム空間のある住宅』というお題的なアイデアが出され、それをこちらで具体的なプランに落とし込んでいきました。実施設計以降は、色や素材、ディテールなどある程度詳細まで検討した上で堤さんにチェックバックをもらい、ブラッシュアップしていくような進め方でした。
最初は直接お客様とお話しする機会は少なかったのですが、実施設計以降の打ち合わせには一緒に参加させていただき、やりとりもさせていただいていました」
堤氏「加藤さんの安定感とデザインセンスには非常に助けられました。特に実施設計・監理の進行において、加藤さんの柔軟な対応がプロジェクト成功の鍵になったと思いますし、コミュニケーション力・バランス力が素晴らしい方だと思いました。デザインに関しての咀嚼力・イメージを形にする能力もとても高い方なので、非常に進めやすかったです。
さらに、お互い効率よくパパッと進めるタイプというよりは、腰を据えてじっくり設計に向き合うタイプだったので、その点もすごく相性が良かったと思います。ベターなものを選ぶというよりは、ベストな選択を積み重ねることができました。そういったソフトな面でのマッチングも考慮してくれるアーキタッグさんの紹介もありがたいですね」
加藤氏「自分としても、極力選択肢を広げた中でベストなものを選びたいという感覚でやっているので、堤さんの考え方には共感できましたし良い進め方ができたと思います。プロジェクトを進める中で、役割分担が明確だったことも自分にとってはやりやすかったです。私はストレートに伝えて引っ張っていくみたいなやり方はあまりしないタイプなので、引っ張っていく役割を堤さんが担ってくださいました」
ーー今回のプロジェクトで最もこだわった部分を教えてください。
堤氏「ドーム型の構造をどのように実現するか、というのが最もチャレンジングな要素でした。曲面を多用したデザインは施工の難易度が高く、細かなディテールまで配慮する必要がありましたが、施工業者と打ち合わせを重ね理想的な形状を実現することができました」
加藤氏「特に内部空間の使い勝手と美しさを両立させるための検討に、多くの時間を費やしました。内部空間に開放感を持たせ、自然光を取り入れやすくする工夫をしたり、素材選びや色彩のバランス、家具のディテールや照明計画にもこだわりました。
曲面を多用した特殊な形状の建築だったこともあり、特にプランをまとめ切るのが大変でした。造作家具のレイアウトや高さ関係など、プランの変更を図面に落とし込む際に細かい調整が必要でした。
施工もかなり難しかったかとは思いますが、難易度が高いものを面白がってくださる施工業者さんと出会えたお陰で、色々ご相談に乗っていただきながら進めることができました」
ーー加藤さんは愛知拠点ですよね。遠方でのタッグで大変な部分はありましたか?
加藤氏 「以前、スポット的に図面作成のお手伝いをした経験はあったのですが、遠方の方とがっつり共同設計をする経験は今回が初めてでした。オンラインでやり取りするのもあまり慣れていなかったので、最初は不安な部分もありましたが、むしろ今回のタッグでオンラインでの協業の可能性を感じました。意外と問題なくやりとりができることがわかり、自分の中で価値観が広がりましたね。
監理も基本オンラインベースでやっており、実際に現場に行ったのは数回だったと思います。その代わり定例は毎週しっかり設けて、施工業者とのやりとりや写真の共有は密に行なっていました」
堤氏「私が初めて加藤さんと対面でお会いしたのは、確か工事契約のタイミングでしたね。私自身全国を飛び回っていることもあり、オンラインでの協業については以前から力を入れていました。今の時代、色々なツールやアプリケーションがあるので、それらを駆使しながらコミュニケーションやプロジェクト管理を行なっています。やはり要所要所ではお会いすることも大事ですが、オンラインで完結できることも多くなってきていますね」
ーー最後に、今回のプロジェクト全体を振り返っての感想を教えてください。
堤氏 「お客様にも非常に満足していただき、私たちにとっても大きな達成感があるプロジェクトになりました。また今回のタッグで、異なる視点やアプローチを持つ建築家とのコラボレーションの大切さを再認識しました。お互いの強みを活かし、より良い作品を作り上げることができたことに感謝しています。
arbol では引き続き、プロジェクトを通してコミットいただけるパートナーを募集しているので、今後も良いご縁があれば積極的にパートナーシップを組んでいきたいです
今後もアーキタッグを通じて、多くの素晴らしいプロジェクトが生まれることを期待しています」
加藤氏「堤さんとのタッグは非常に有意義で、多くのことを学ぶことができました。お施主さんの立場になって先読みする姿勢であったり、デザインに関心にある方にきちんと届くようにHPやコンテンツの発信をされているのは、今後参考にしたいなと思いました。今回のお施主さんは arbol さんのデザインに共感されているお施主さんだったこともあり、振り切った面白い提案を積極的にできたのもとても良い経験になりました。
オンラインでのコミュニケーションや遠隔地でのプロジェクト管理など、新しい働き方にも今後積極的に取り組んでいきたいです」
ーー堤さん、加藤さんありがとうございました。
以上、建築家同士のタッグ事例のご紹介でした。
大胆な空間構成に対するディテールの細やかさがとても印象的で、隙がなくデザインされつつも温かみを感じられる素敵な住宅だと感じました。
まさに堤さん・加藤さんのお二人が手掛けられからこそ生まれた空間だと思います。
今後もこのような素晴らしいコラボレーションが増え、建築の可能性が広がっていくことを楽しみにしています。
「夙川の家」の詳細は、こちらからもご覧いただけます。
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