アーキタッグをご利用いただいている安井建築設計事務所・清原氏へのインタビュー。清原氏は現在、同社の東京事務所で設計部部長を務める。滋賀県立大学・大学院で環境建築を学び、卒業後に安井建築設計事務所へ入社し今に至る。
以来、学校関係の建築を中心にオフィスや商業施設等様々な用途の建築設計に携わってきた清原氏。現在は、東京を拠点にしながら設計部門のマネジメントを担い、設計業務と人材育成・チームマネジメントの両面から組織を支えている。
「設計部部長」としての職務
清原氏の設計キャリアは関西からスタートした。
「入社からずっと大阪事務所に勤めていたのですが、数年前から大阪と東京の兼務のような形で行ったり来たりするようになり、昨年からは東京事務所が拠点になりました。
今は設計部部長として、チームメンバーのマネジメントを行いながら、実際の設計プロジェクトの担当も変わらずやっています」
「実務を通じて若手スタッフの育成にも力を入れていますが、上から指示を出すボスという立場よりは、若手と同じ立ち位置からチームを牽引していく『リーダー』であり続けたいという考え方を大事にしています」
設計実務、チームマネジメント、スタッフのアサインメントやプロジェクトの体制組成など幅広い役割を担う清原氏。その中で、外部パートナーを必要とするプロジェクトが急遽発生したことが「アーキタッグ」を利用し始めたきっかけだったと言う。
知人から聞いた「アーキタッグ」というプラットフォーム
「あるプロジェクトで人手が足りず外部パートナーを探していた時、ぽろっと知り合いに相談してみたんです。そうするとその方から『アーキタッグ』というサービスがあるよと紹介してもらったのが最初のきっかけです。
青山芸術という社名が独特なので『画廊なのかな?』などと最初は思いましたが(笑)、信頼している知り合いからの紹介だったので、そこまで不安には思っていなかったことを覚えています。まずは話を聞いてみようと思い、案件の人手確保も急務だったのですぐに相談してみました」
実際に利用して感じた「精緻さ」と「スピード」
「針の穴を通すような精緻な提案と、圧倒的なスピード感」
清原氏は「アーキタッグ」の感想をそう語る。
「初回打ち合わせの場で、事前に少しだけ伝えていた情報だけをもとに、もう本当にこういうパートナーを探していましたというようなぴったりの設計事務所を即座に提案してもらいました。正直かなり驚きましたね」
そのままアーキタッグの導入を進め、実際にその提案されたパートナーと初回のタッグに進むこととなった。
「特に(担当の)松原さんは、相談したらいつも即座にレスポンスをくれますよね。とりあえず困ったことがあったら聞いてみることができる担当がついてくれるというのは安心できます」
今後もタッグの輪を広げていきたいと語る清原氏。
「設備や構造などの専門的な外部パートナーはもちろん、案件をリードする実績と能力がある 40 代の設計者や、パースやレタッチが得意なデザイナー、建築領域の外から新しい提案力を持ち込んできてくれるパートナーなど、積極的に外部とのコラボレーションも増やしていきたいと思っています」
東京事務所は「個と組織を鍛え成長させる場」
同業他社の組織設計も多い中、安井建築設計事務所の特徴を伺ったところ、「自由」「自主」「自治」「自立」「自律」を理念とした東京事務所のオフィスが、自社の特徴を語る上において重要なターニングポイントになっていると清原氏は語る。
「昨年、神田に移転してきた東京事務所の改修設計も自社で行っています。設計案は社内コンペで募集して、多くの社員が自主的に参加しました。
そんな東京事務所は、個と組織を鍛え成長させる場を目指しています。新入社員から社長までが同じフロアに席を置き、フリーアドレスで他部署との距離が近い空間になっています。このフラットな関係性をベースとしたオフィスは、スタッフの自主的な活動を生み出す環境となり、安井建築設計事務所のカルチャーを築いていく場を醸成していくと思います。」
「若手社員の育成方針としては、『まずは任せてみる。皆が責任を共有し、フォローはしっかり上司が行う』ことが大切だと考えています。一定のプレッシャーはあるかもしれませんが、それを乗り越え、若いうちから設計者が建築主と直接やりとりする経験を多く積めるというのも、安井建築設計事務所の特徴かもしれません。そういった場面を多く経験する方が、設計者としての成長スピードは格段に早くなるし、AIに乗っ取られない設計者像であるとも思いますね」
神田という場所に根ざす意味
また、神田という地域に根ざし、ひらいていくことも安井建築設計事務所は大事にしている。
「東京事務所の1階は、地域や社会に対して土着的にひらくスタイルを実現する場所です。「人やまちを元気にする」というコーポレートメッセージを体現し、安井建築設計事務所の特徴を育てていく大切な場所であると考えています」
撮影:大河内禎
オフィスをひらくだけでなく、地元のお祭り『神田祭』にも熱心に参加したり、大学の卒業設計展やいろいろなイベントをこの1階で開催することは、日々の設計業務だけにとらわれず、働く仲間や働く場所への問いかけになっていると感じています。
この建物は建築されて半世紀以上が経ち、解体されてもおかしくない状況から改修を行い、もう一度新たな命を吹き込むことで、環境面にとっても世に問う建築になっていると思います。」
プロジェクトの「初動」がすべてを決める
「建築設計のプロジェクトにおいては、クライアントの要望や解決すべき課題が存在しますが、私たちはプロジェクトの開始時に「世の中の根本的な既成概念を問い直す」ことや、プロジェクト自体を「より魅力的な空間」として構築することを意識しています。これらは初動において重要なポイントであると考えています」
具体的なプロジェクトの事例を教えてくれた。
撮影:エスエス 津田裕之
「大阪国際中学校・高等学校の設計を手がけたプロジェクトでは、理事長との半年にわたる対話の中で『学びとは何か?』という根本的な問いを繰り返し議論していました。その時に理事長と一致した方針は、生徒にとって様々なものに『ふれる』ことが非常に重要であるというものでした。『ふれる』体験を散りばめたキャンパスを構築することで、生徒自身が感じ、考え、自らの個性を磨き上げることができる学校を創りたいという思いになりました。
このような思想に基づき、日本の文化や偉人たちの想い、学年を超えた生徒との交流など、様々な『ふれる』体験を通じて学びを深めることができる学校を設計しました。
例えば、『特別教室』は1階建ての構造とし、外庭とつなげることで、ビオトープなど教科書で見るものをリアルに体験できる空間を創出しました。また、図書室を教室前の廊下に開放することで、普段から本に触れることができる環境を整えています。
このプロジェクトは、まさに『初動』において学びに対する答えにこだわった結果、創り上げられた建築であると考えています」
撮影:エスエス 津田裕之
安井建築設計事務所は福祉や教育にとどまらずあらゆる建築の設計を手掛ける:作品紹介サイト
また、建築と人とのつながりに向き合う考え方は、清原氏が学生時代に学んだルーツにもつながると言う。
「個人的な話でもありますが、私は滋賀県立大学で建築を学びました。『環境建築』を主体に学ぶというアプローチは、当時としては新しい考え方であったと感じています。教授であった内井昭蔵先生からは、「環境学は関係学である」という重要な考え方を教わりました。『自分と周り』『内と外』といった関係性を建築によって創出することが『環境建築学』の本質であると理解しています。そこから、あらゆるものの関係をどのように繋げていくかが、私のテーマとなっています」
「そしてそれは、建築や空間に留まる『つながり』だけではないと思っているんです。新しい技術を建築に応用して、『建築xテクノロジー』『建築xAI』といった新たな関係性を設計していきたいと考えています。また、今後は企業の垣根を超えた新しい取り組みを進めるべきだと思っており、普段は同業他社である他の設計事務所と共に新しいプロジェクトや取り組みを考える機会を増やしています。建築、空間、人、技術、企業などあらゆるものの『関係』を創っていけるような仕事を今後も続けてていきたいですね」
今後の展望とアーキタッグへの期待
最後に、今後の清原氏や安井建築設計事務所の展望、そしてアーキタッグに期待することも伺った。
「若手の積極的なチャレンジの場があったり、地域や文化を大切にする安井建築設計事務所の姿は、更にスタッフみんなで楽しみながら成長させていきたい。
それに加えて、新しいことにももっと取り組んでいくべきだと思っています。この東京事務所もそのひとつですが、AI やテクノロジーを積極的に取り込んだ建築プロジェクトを考えたり、業界内だけではなくいろいろな領域の専門家とタッグを組んでみたり、様々なコラボレーションを通じて実験的なことにももっとチャレンジしていきたい。
アーキタッグさんへの期待としては、日々の実務を進めていく上での重要なパートナーさんとのつながりはもちろん、新しい挑戦に一緒に向き合ってくれる様々な専門家との出会いなども今後は創ってくれるとありがたいですね」
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